大人編Q&A
Q1.歯周病の原因になる不良習癖とはどのようなことですか?
A . 歯周病を引き起こしたり、悪化させる原因になる不良習癖に歯ぎしりや口呼吸などがあります。 歯周病の原因はプラーク中の細菌ですが、その他にも間接的な原因として、普段意識せずにしている歯ぎしりやくいしばり、口呼吸などがあります。このような習癖は、歯周病を引き起こしたり進行させる原因になります。
歯は物を噛む時などに加わる縦の力には対応できるのですが、歯ぎしりのように横から加わる力にはきわめて弱く、すでに歯周病にかかっているような場合には、歯周病を悪化させる原因にもなります。また、鼻が悪く口で呼吸する口呼吸の場合や、歯並びが悪く口が閉じられずに開いてしまうような場合、口の中は乾燥してしまいます。
乾燥することでプラークは強く付着し、歯肉には炎症が起きます。鼻が悪い場合は耳鼻科での治療が必要になりますし、歯の矯正が必要なこともあります。原因に応じて適切な処置を受ける必要があります。
Q2.ムシ歯ではないのに、冷たいものがしみる歯があります。どうしてでしょうか?
A . そのような症状は、象牙質知覚過敏(ぞうげしつちかくかびん)と思われます。 歯グキが下がり、歯の根元が露出すると起こりやすくなります。歯の根元が露出する原因には、歯周病、不正な咬み合わせ、ムシ歯、不適切なブラッシング方法、加齢などがあります。
歯の根の部分には、歯髄(しずい=歯の神経)に通じている「象牙細管(ぞうげさいかん)」という細い管が通っています。この象牙細管に温度の刺激やブラッシングなどの刺激が加わると、歯がしみたり、ひどくなると痛みが生じたりします。 また、歯がしみるからといって歯みがきを中止すると、プラークにより酸が産生され、酸の脱灰作用(歯を溶かす作用)によって症状が進行することがあります。
妊婦編Q&A
Q1.妊娠すると歯が悪くなるのですか?現在妊娠中です。「出産すると歯が悪くなる」とききますが、注意点を教えてください。
A . 妊娠中は“つわり”などで口の中のお手入れが不足しがちになり、ムシ歯や歯周病を悪化させていることがあります。規則正しい生活をし、お口の中を清潔に保つことが必要です。
妊娠すると歯が悪くなるのは、妊娠によるホルモンの変調やライフスタイルの変化が原因していることが多いようです。つわりで歯みがき回数が減ったり雑になったり、食事や間食の回数が増えるなど、お口の中の衛生状態が悪くなり、ムシ歯や歯周病の悪化につながります。
子ども編Q&A
Q1.乳歯のムシ歯は、永久歯にどんな影響がありますか?
A . 乳歯のムシ歯を放置すると、永久歯の歯並びや歯質に悪い影響があります。 乳歯は生え変わるからと、ムシ歯になっても放置していると、永久歯に思わぬ影響があります。まず永久歯の歯並びへの影響があります。乳歯には永久歯が生えてくる場所を確保するという大切な役割があるので、乳歯をひどいムシ歯にしたり、早い時期に失ってしまうと、隣り合っている歯が移動して永久歯が生えるスペースが確保できず、歯並びが乱れたり永久歯が生えてこれなくなったりすることがあります。また、乳歯のムシ歯が重症で、歯の根の先などに膿がたまるくらいひどくなると、乳歯のすぐ下でつくられている永久歯の表面のエナメル質を溶かしてしまうことがあります。
その他にも、歯の痛みで噛めない物ができたり、顎の発達が不十分になるなどの影響もあります。ムシ歯になってしまったら放置せず、きちんと治療を受けましょう。もちろんムシ歯にしないように予防していくことがなによりです。定期的に検診を受け、毎日の歯みがきでお口の中を清潔に保つようにすることが大切です。
歯磨き編Q&A
Q1.何分くらいかけてブラッシングすればいいのでしょうか?
A . 歯並び、はみがき回数など、お口の状態によって違います。ただ、すべての歯のすべての面をきれいにブラッシングするためには、最低でも3分は必要といわれています。
1回のブラッシングにかける時間を調べてみたところ、1分~1分30秒くらいの人が多いようです。また、実際にみがいている時間は、自分自身で思っている時間よりかなり短いようです。ブラッシングに要する時間は、歯の汚れ具合や歯みがき方法などによっても違います。例えば、1日1回しか歯をみがかない人は、プラークが落ちにくくなっていますので少し時間をかけないときれいになりません。
上下・表側・裏側とすべての歯のすべての面を1ヵ所20ストロークみがくとすると、どうしても3分以上かかります。ですから、ブラッシングにかける時間が1~2分の人は、どこかにみがき残しがあるのではないかと思われます。ブラッシングで大切なことは、何分みがくかではなくて、実際にプラークがきちんと落ちているということです。朝食後や昼食後のはみがきが十分出来ない人は、就寝前に時間をかけてブラッシングしてみてください
その他編Q&A
Q1.プラークコントロールにはどのような方法がありますか?
A . プラークコントロールには、ムシ歯や歯周病の原因となるプラーク(歯垢)を除去する、プラークの性質を変えたりプラークの形成を防ぐという意味があります。ブラッシングをはじめとして様々なプラークコントロール法があります。
プラークは食べ物のカスではなく、歯の表面に強固にこびりついた細菌のかたまりで、多数の細菌とベタベタした多糖体からできています。このプラークが、歯や歯周ポケット(歯と歯肉の境目の溝)に付着して、ムシ歯や歯周病、口臭などの原因になるのです。
プラークを取り除く手段として、ハブラシの毛先で物理的にこすりとる方法(=ブラッシング)があります。ブラッシングの際、ハミガキを利用すればプラークが除去しやすくなり、またプラークの再付着を防ぐことができます。
しかし、歯はかたちも複雑で、歯と歯の間や歯周ポケットなどのハブラシが届きにくい部分のプラークはどうしても取りきれません。そこで、取りきれなかったプラークの性質を変えることや、プラークがつくられるのを防ぐことが必要になってきます。フッ素配合ハミガキには、歯の質を強くするだけでなく、取り残しのプラークにフッ素が浸透して細菌がつくる酸を抑える働きがあります。
さらにプラークの形成を防ぐためには、砂糖摂取のコントロールも大切です。
またプラークコントロールには、いま紹介したホームケア(家庭で自分自身ですること)だけでなく、プロフェッショナルケア(歯科医院で受ける専門的なこと)があります。定期的に歯石除去を受けたり、自分自身では取り除けない部分のプラークを除去してもらうことでプラークの付着を予防できます。